代数学、位相空間論、そして代数幾何学が美しく交差する古典的な結果として、無限集合上の体への関数がなす可換環 $A = K^X$ のイデアル構造および素スペクトル($\mathrm{Spec}$)の構造は、集合論的な性質や「フィルター」の概念を用いて完全に記述・分類することができます。
本稿では、この構造論の根底にある von Neumann 正則環 の性質から、イデアルとフィルターの完全な 1 対 1 対応、そして $\mathrm{Spec}(A)$ の幾何学的な構造(各点における局所環や剰余体、構造層の記述を含む)にいたるまで、一切の要約を排除し、自己完結的(self-contained)な詳細な証明とともに解説します。
$X$ を無限集合、$K$ を任意の体とします。$X$ から $K$ への関数全体からなる集合 $A = K^X$ は、各点ごとの演算によって可換環となります。
零元 $0$ はすべての $x \in X$ に対して $0(x) = 0$ となる定数関数、単位元 $1$ はすべての $x \in X$ に対して $1(x) = 1$ となる定数関数です。
関数 $f \in A$ に対して、その値が $0$ になる点の集合を $Z(f)$ と表記します。
$$Z(f) = \{ x \in X \mid f(x) = 0 \}$$$X$ の部分集合の族 $\mathcal{F} \subseteq \mathcal{P}(X)$ が以下の3条件を満たすとき、$\mathcal{F}$ を $X$ 上のフィルターと呼びます。 (※環の全体 $A$ との対応づけを完全にするため、$\varnothing \in \mathcal{F}$ となる不適切なフィルター(improper filter、すなわち $\mathcal{P}(X)$ 全体)も含めて定義します。)
本稿で扱う関数環 $A = K^X$ の強力な代数的性質を保証するのが、John von Neumann によって導入された正則環の概念です。
単位元を持つ可換環 $R$ が von Neumann 正則環 であるとは、任意の元 $a \in R$ に対して、ある元 $x \in R$ が存在して、次の条件を満たすことをいう。
$$a = a^2 x \quad (\text{または等価に } a = axa)$$任意の体 $K$ は von Neumann 正則環です。なぜなら、任意の $a \in K$ に対して:
本稿で扱う $A = K^X$ も von Neumann 正則環です。元 $f \in A$(すなわち関数)に対して、元 $g \in A$ を次のように各点ごとに定義します。 $$ g(x) = \begin{cases} f(x)^{-1} & (f(x) \neq 0 \text{ のとき}) \\ 0 & (f(x) = 0 \text{ のとき}) \end{cases} $$ このとき、各点 $x \in X$ について計算すると、 $f(x) \neq 0$ のときは $f(x)^2 g(x) = f(x)^2 f(x)^{-1} = f(x)$ となり、$f(x) = 0$ のときは $0^2 \cdot 0 = 0 = f(x)$ となります。したがって、環の元として $f = f^2 g$ が至る所成り立ち、$A$ は von Neumann 正則です。
整数環 $\mathbb{Z}$ は von Neumann 正則環ではありません。例えば $a = 2 \in \mathbb{Z}$ を考えます。正則環の定義を満たすには $2 = 2^2 \cdot x = 4x$ となる整数 $x \in \mathbb{Z}$ が存在しなければなりませんが、これを満たす整数は存在しないためです(有理数体 $\mathbb{Q}$ まで広げれば $x = 1/2$ が存在します)。
von Neumann 正則性により、任意の関数はその零点集合の情報(サポートの補集合)を完全に保ったまま、値が $0$ か $1$ しか取らないべき等元(指示関数)に取り替えることができます。
任意の $f \in A$ に対して、指示関数 $e_f \in A$ を次のように定義する。
このとき、任意のイデアル $I \subseteq A$ と任意の関数 $f \in A$ に対して以下が成り立つ。
$$f \in I \iff e_f \in I$$$(\implies)$ 前述の von Neumann 正則性の例で構成した関数 $g \in A$ ($f(x) \neq 0$ のとき $f(x)^{-1}$、そうでないとき $0$)を考える。各点において演算を行うと、明示的に $(fg)(x) = e_f(x)$ となるため、環の元として $fg = e_f$ である。$I$ はイデアルであり $f \in I$ なので、イデアルの積の吸収律より $fg = e_f \in I$ となる。
$(\impliedby)$ 指示関数の定義より、すべての $x \in X$ において $f(x) = f(x) e_f(x)$ が成り立つため、環の元として $f = f e_f$ である。$I$ はイデアルであり $e_f \in I$ なので、再び吸収律より $f e_f = f \in I$ となる。
■環 $A$ のイデアル全体と、集合 $X$ 上のフィルター全体の間に 1 対 1 の対応が存在することを示します。以下の2つの写像 $\Phi$ と $\Psi$ を構成します。
$X$ 上のフィルター $\mathcal{F}$ が与えられたとき、$\Phi(\mathcal{F}) = I_{\mathcal{F}}$ を以下で定義します。
$$I_{\mathcal{F}} = \{ f \in A \mid Z(f) \in \mathcal{F} \}$$以上より、$I_{\mathcal{F}}$ は環 $A$ のイデアルの定義を満たす。
■$A$ のイデアル $I$ が与えられたとき、$\Psi(I) = \mathcal{F}_I$ を以下で定義します。
$$\mathcal{F}_I = \{ Z(f) \mid f \in I \}$$以上より、$\mathcal{F}_I$ は $X$ 上のフィルターの定義を満たす。
■
$(\subseteq)$ $S \in \mathcal{F}_{I_{\mathcal{F}}}$ とする。定義より $S = Z(f)$ となる $f \in I_{\mathcal{F}}$ が存在する。$I_{\mathcal{F}}$ の定義から $Z(f) \in \mathcal{F}$ であるため、そのまま $S \in \mathcal{F}$ となる。
$(\supseteq)$ $S \in \mathcal{F}$ とする。補集合の指示関数 $e_{X \setminus S}$ を考えると、その零点集合は $Z(e_{X \setminus S}) = S$ である。仮定より $S \in \mathcal{F}$ であるから、$Z(e_{X \setminus S}) \in \mathcal{F}$ となり、写像の定義から $e_{X \setminus S} \in I_{\mathcal{F}}$ である。したがって、その零点集合である $S$ は $\mathcal{F}_{I_{\mathcal{F}}}$ に属する。
$(\subseteq)$ $f \in I_{\mathcal{F}_I}$ とする。定義より $Z(f) \in \mathcal{F}_I$ である。$\mathcal{F}_I$ の定義を紐解くと、零点集合がこれに一致するようなある元 $g \in I$ が存在することがわかる($Z(f) = Z(g)$)。【補題】より、$g \in I \implies e_g \in I$ である。ここで、零点集合が全く同一($Z(f)=Z(g)$)であるため、それらから作られる指示関数も完全に同一となる($e_f = e_g$)。よって $e_f \in I$ が成り立ち、再び【補題】を用いることで $f \in I$ が導かれる。
$(\supseteq)$ $f \in I$ とすると、写像 $\Psi$ の定義から直ちに $Z(f) \in \mathcal{F}_I$ である。すると写像 $\Phi$ の定義から、$Z(f) \in \mathcal{F}_I \implies f \in I_{\mathcal{F}_I}$ となり、包含関係が成り立つ。
以上から、写像 $\Phi$ と $\Psi$ は互いに逆写像であり、イデアル全体とフィルター全体の間に 1 対 1 対応があることが証明された。
■この 1 対 1 対応を仲介役とすることで、環論的な代数構造と、集合論的なフィルターの構造を完全に同一視して翻訳することができます。
| フィルターの種類 | 集合論的な直感の意味 | 対応するイデアルの特徴 | 代数的な性質 |
|---|---|---|---|
| 真のフィルター ($\varnothing \notin \mathcal{F}$) | 空集合を含まない適切な集合族 | $I \subsetneq A$ | 真のイデアル |
| 単項フィルター $\mathcal{F}_Y$ | 特定の部分集合 $Y$ を包む集合の全体 | $I_Y = \{ f \in A \mid f|_Y = 0 \}$ | 一般のイデアル |
| 極大フィルター(超フィルター) | これ以上大きくできない適切なフィルター | $p \subseteq A$ | 極大イデアル(かつ素イデアル) |
$X$ の特定の1点 $x_0 \in X$ を固定します。$x_0$ を要素として含むような $X$ の部分集合をすべて集めた族 $\mathcal{F}_{x_0} = \{ S \subseteq X \mid x_0 \in S \}$ を考えます。これは「単項超フィルター(Principal ultrafilter)」と呼ばれる極大フィルターです。
これに対応するイデアルを定義に従って求めると、 $Z(f) \in \mathcal{F}_{x_0} \iff x_0 \in Z(f) \iff f(x_0) = 0$ となるため、次のようになります。 $$I_{x_0} = \{ f \in A \mid f(x_0) = 0 \}$$ これは「点 $x_0$ での値が $0$ になる関数全体」のなすイデアルです。このイデアルによる剰余環 $A / I_{x_0}$ は、各関数に $x_0$ での値を対応させる評価写像を考えることで、体 $K$ と同型になります。剰余環が体になるため、これは代数的に極大イデアルです。
$X$ の空でない任意の部分集合 $Y \subseteq X$ を固定します。$Y$ を完全に包含するような $X$ の部分集合をすべて集めた族 $\mathcal{F}_Y = \{ S \subseteq X \mid Y \subseteq S \}$ を考えます。これは「$Y$ によって生成される単項フィルター(Principal filter)」です。
これに対応するイデアルは、 $Z(f) \in \mathcal{F}_Y \iff Y \subseteq Z(f) \iff \forall x \in Y, f(x) = 0$ となるため、次のようになります。 $$I_Y = \{ f \in A \mid f|_Y = 0 \}$$ これは「部分集合 $Y$ の上で恒等的に $0$ になる関数全体」のなすイデアルです。$Y = \{x_0\}$ (1点)のときは例1の極大イデアルになり、逆に $Y = X$ のときは「すべての点で $0$ になる関数」の集合、すなわち零イデアル $\{0\}$ になります。
補集合が有限集合(=高々有限個の点を除いたすべて)であるような $X$ の部分集合をすべて集めた族 $\mathcal{F}_{\mathrm{cf}} = \{ S \subseteq X \mid X \setminus S \text{ は有限集合} \}$ を考えます。これは「Fréchet フィルター(Fréchet filter)」と呼ばれます。
これに対応するイデアルを考えると、関数の値が $0$ でない点の集合(台集合、サポート) $X \setminus Z(f)$ が有限集合になる関数を集めることになるため、次のようになります。 $$I_{\mathrm{cf}} = \{ f \in A \mid f(x) \neq 0 \text{ となる } x \in X \text{ が有限個しか存在しない} \}$$ これは「有限個の点を除いて、至る所 $0$ になる関数全体」のなすイデアルです。例えば $X = \mathbb{N}$(自然数全体)のとき、これは「有限個の項を除いて、先のほうではすべて $0$ になる数列の全体」を意味します。このイデアルは、代数的な意味で「有限生成にならない(単項イデアルではない)」重要な例となっています。
Zorn の補題(選択公理)を仮定すると、例3の Fréchet フィルター $\mathcal{F}_{\mathrm{cf}}$ を部分集合として包含するような、極大フィルター(超フィルター) $\mathcal{F}_{\mathrm{free}}$ の存在が示せます。このフィルターはいかなる有限集合も含まず、いかなる1点も含まないという性質を持つため、「自由超フィルター(Free ultrafilter)」と呼ばれます。
これに対応するイデアル $I_{\mathrm{free}} = \{ f \in A \mid Z(f) \in \mathcal{F}_{\mathrm{free}} \}$ は、超フィルターに対応するため $A$ の極大イデアルです。しかし、例1の $I_{x_0}$ とは異なり、「いかなる特定の1点での評価でも表すことができない極大イデアル」になります。このイデアルによる剰余環 $A / I_{\mathrm{free}}$ は、数理論理学(モデル理論)や超準解析(Non-standard analysis)において極めて重要な役割を果たします。
ここからは、可換環 $A = K^X$ の素スペクトル $\mathrm{Spec}(A)$ を代数幾何学的なスキーム(Scheme)とみなしたときの幾何学的構造について、5つの観点から詳細な証明とともに記述します。
【構造】 集合として $\mathrm{Spec}(A) = \mathrm{Max}(A)$ であり、これは $X$ 上の超フィルター全体の集合と 1 対 1 で対応する。
一般の可換環において $\mathrm{Max}(A) \subseteq \mathrm{Spec}(A)$ は常に成り立つ。逆の包含関係、すなわち「$A$ の任意の素イデアル $p$ が極大イデアルであること」を示すため、剰余環 $A/p$ が体であることを示す。
任意の元 $f \in A$ であって $f \notin p$ となるものをとる。von Neumann 正則性より $f = f e_f$ である($e_f$ は $f$ の指示関数)。もし $e_f \in p$ であれば $f = f e_f \in p$ となり矛盾するため、$e_f \notin p$ である。
ここで、べき等元の定義より $e_f(1 - e_f) = 0$ が成り立つ。$0 \in p$ であり、$p$ は素イデアルであることから、積の定義より $e_f \in p$ または $1 - e_f \in p$ のいずれかが必ず成り立たなければならない。今 $e_f \notin p$ であるため、必然的に $1 - e_f \in p$ となる。
$f$ の擬逆元 $g$ ($fg = e_f$ を満たすもの)を考えると、剰余環 $A/p$ において次が成り立つ。 $$fg = e_f = 1 - (1 - e_f) \equiv 1 \pmod p$$ よって、$f$ は $A/p$ において逆元 $g \pmod p$ を持つ。任意の非零元が逆元を持つため $A/p$ は体であり、ゆえに $p$ は極大イデアルである。前節の議論により極大イデアル全体は $X$ 上の超フィルター全体と 1 対 1 に対応するため、題意は示された。
■【構造】 $\mathrm{Spec}(A)$ は、離散位相を入れた $X$ の Stone-Čech コンパクト化 $\beta X$ に同相である。
Zariski 位相の基本開集合は $D(f) = \{ p \in \mathrm{Spec}(A) \mid f \notin p \}$ で与えられる。$f$ とその指示関数 $e_f$ は互いの倍元($f = f e_f, e_f = fg$)であるため、生成するイデアルが等しく、$D(f) = D(e_f)$ となる。したがって、すべての基本開集合はべき等元 $e$ による $D(e)$ の形で書き表せる。
$e(1-e) = 0$ より、任意の素イデアル $p$ は $e$ か $1-e$ のどちらか一方のみを必ず含む。したがって、基本開集合 $D(e)$ の補集合は $D(1-e)$ という別の基本開集合になり、これは $D(e)$ が開集合であると同時に閉集合(clopen set)であることを意味する。
【構造】 基本開集合 $D(e_S)$($S \subseteq X$ は $e_S$ の台集合)における断面の環は $\mathcal{O}(D(e_S)) \cong K^S$ である。すなわち、その開集合に対応する部分集合上の関数環そのものになる。
スキームの構造層の定義により、基本開集合 $D(e_S)$ 上の断面は、環 $A$ のべき等元 $e_S$ による局所化 $A_{e_S}$ (分母集合 $\{1, e_S, e_S^2, \dots \}$ による局所化)に等しい。$e_S$ はべき等元($e_S^2 = e_S$)であるため、分母集合は実質的に $\{1, e_S\}$ のみで閉じている。
可換環論の一般的事実として、べき等元 $e$ による局所化 $A_e$ は、剰余環 $A/(1-e)A$ と自然に同型になる。実際、自然な全射写像 $\pi: A \to A_e$ ($f \mapsto f/1$)の核を考えると、 $f/1 = 0$ $\iff$ $\exists n \ge 1, e^n f = 0$ $\iff$ $ef = 0$ $\iff$ $f = f(1-e)$ $\iff$ $f \in (1-e)A$ となるためである。
ここでイデアル $(1-e_S)A$ は、「補集合 $X \setminus S$ 上の指示関数」を掛けて得られる関数の集まり、すなわち「部分集合 $S$ の上で恒等的に $0$ になる関数全体」に他ならない。したがって、このイデアルによる剰余環 $A / (1-e_S)A$ は、各関数を定義域 $S$ 上に制限する自然な写像により、 $S$ 上の関数環 $K^S$ と完全に同型となる。
■【構造】 点 $p \in \mathrm{Spec}(A)$ に対応する超フィルターを $\mathcal{U}_p$ とするとき、剰余体 $\kappa(p)$ は体 $K$ の $\mathcal{U}_p$ による超べき(Ultrapower) $K^X / \mathcal{U}_p$ に一致する。
局所環 $\mathcal{O}_p = A_p$ の唯一の極大イデアルを $m_p = p A_p$ とすると、剰余体の定義から $\kappa(p) = A_p / m_p$ である。一般の局所化の代数的な性質により、これは $A/p$ の分数体と同型であるが、(1) の証明ですでに示した通り、剰余環 $A/p$ は局所化を行うまでもなくそれ自身が体である。したがって、分数体をとる操作は自明であり、$\kappa(p) \cong A/p$ となる。
環 $A/p$ の構成は、関数 $f, g \in A$ に対して $f \equiv g \pmod p \iff f - g \in p$ という同値関係による商集合である。第4節で証明したイデアルとフィルターの完全な対応辞書を適用すると、 $f - g \in p \iff Z(f - g) \in \mathcal{U}_p$ と翻訳される。
$Z(f - g)$ の定義は「$f(x) = g(x)$ となる $X$ の点全体の集合」である。したがって、この剰余関係は「関数 $f$ と $g$ の値が一致するような集合が、超フィルター $\mathcal{U}_p$ に属している(=$\mathcal{U}_p$ の意味で”ほとんど至る所”で等しい)ならば、これらを同一視する」という同値関係にほかならない。これは数理論理学・モデル理論における超べき $K^X / \mathcal{U}_p$ の定義そのものである。
■【構造】 任意の点 $p \in \mathrm{Spec}(A)$ において、局所環(茎) $\mathcal{O}_p = A_p$ はそれ自身が体(無限小の構造を持たない次元0の点)であり、剰余体 $\kappa(p)$ に完全に一致する(すなわち $A_p \cong A/p$)。
局所環 $A_p$ が体であることを示すには、$A_p$ 内の唯一の極大イデアルである $p A_p$ が零イデアル $(0)$ であること、すなわち、任意の分子の元 $f \in p$ に対して、局所化の元として $f/1 = 0/1$ が成り立つことを示せば十分である。
$f \in p$ を任意にとる。このとき、$f$ の零点集合 $Z(f)$ の指示関数を $1 - e_f \in A$ とする($f(x)=0$ のとき $1$、$f(x) \neq 0$ のとき $0$ となるべき等関数)。第3節の補題より、 $f \in p \iff e_f \in p$ である。もし $1 - e_f \in p$ でもあると仮定すると、イデアルの加法閉包性から $e_f + (1 - e_f) = 1 \in p$ となり、 $p$ が真のイデアルであることに矛盾する。したがって、必ず $1 - e_f \notin p$ である。これは、指示関数 $1 - e_f$ が局所化の分母として許される集合 $A \setminus p$ の元であることを意味する。
ここで、元の環 $A$ において関数 $f$ と $1 - e_f$ の各点での積を計算すると、すべての $x \in X$ においてどちらか一方が必ず $0$ になるため、環の元として $f (1 - e_f) = 0$ が成り立つ。
局所化環における同値関係の定義($f/1 = 0/1 \iff \exists s \in A \setminus p, s \cdot f = 0$)において、分母の元 $s = 1 - e_f$ を採用するとこれが満たされる。したがって、局所環 $A_p$ 内において $f/1 = 0$ である。
極大イデアルのすべての元が $0$ に潰れるため $p A_p = (0)$ であり、局所環 $A_p$ はそれ自身が体となる。よって、自然な全射 $\mathcal{O}_p = A_p \to A_p / p A_p = \kappa(p)$ は同型写像を導き、局所環は剰余体(超べきの体)に完全に一致する。
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